■キミノ言の葉 ボクの言の葉■






―――ごめんね





そんな言葉なんて・・・要らなかった




そんな顔も見たくなかった





―――ごめんね 水谷・・・



もう一度囁かれて離される手・・・
慌てて掴もうとしたら それはするりと逃げた。


更に追いすがって その手を捕える。


ごめん・・ってなに?
どういう意味?



そんな簡単な言葉に全てを託して・・・俺にどうしろっていうの?



俺は・・・

俺はただ・・・栄口が好きで

好きで
好きで
好きで

どうしようもなくて・・・。


だからもう・・阿部と会ってほしくなくて
阿部とセックスしたり
二人の時間を作ったり 
話したり触ったり微笑んだり

そういうこと一切 我慢できないほどに嫌だったから

だから栄口に言ったんだ・・・




俺を選んでよ


栄口を大切にするから
阿部よりも優しくするから 愛するから


だから俺を選んで
 

俺だけをを見て



そう 言ったんだ・・・





でも栄口は――――




―――ごめんね 水谷…



それしか言わなかった。



栄口の言葉を聞いた瞬間・・・俺の中で何かが急速に壊れていく気がした


だって

俺知ってるんだよ

阿部が栄口に『酷いこと』してるって


栄口の身体に散らばる痣は阿部の仕業でしょ?

阿部は執着心も独占欲も嫉妬心も異常なほどに強いから

栄口が違う人と話したり笑ったりした後、そうやって栄口に酷い事してわからせようとしてる・・・。

その癖・・栄口の首元とか ワザと見えそうなところに自分の証を残して―――所有権を主張して…。

俺…知ってるよ。

誰も居ない部室とか・・学校の裏とかで・・・栄口が無理矢理抱かれてた事。
だって阿部が得意げに写真を送ってきたもん・・・。
しかも―――栄口のケ―タイから・・・。
絶対に俺が見るようにって。

あいつ・・・本当に酷いんだ。

なのに・・・。


なんで阿部なの?

阿部が怖いから?
だから阿部を選ぶの・・・?

なんで俺じゃ駄目なの?


俺は栄口が大好きなんだ

好きで好きで好きで頭がおかしくなりそうなほどに 栄口が好きだよ

だから俺は

阿部みたいに『酷い事』はしないよ。

きっとたくさんヤキモチヤいて 嫉妬と独占欲でぐるぐるしちゃうけど
栄口を傷つけるようなことは絶対にしないもん・・・。


なのに栄口は―――阿部がいいっていう・・・
なんで・・?
どうして?

じゃあ俺が・・阿部みたいに栄口に『酷い事』したら そしたら俺の傍にいてくれるの?
俺を選んでくれるの?

ねぇ・・・?
俺わからないんだ。


だから 教えてよ

ねぇ・・教えて


**



**

ああ―――栄口が震えてる。
俺に怯えて泣いている…。


そうだよね・・・。わかるよ。

でも・・・俺ね・・・

栄口の事本気で好きなんだ…


・・・『本気』の好きってこういう気持ちなんだね…。
今初めて知ったよ。


もう―――自分の意志だけじゃ止められないんだ…

・・・・どうやってもこの『気持ち』を抑えることなんて――――できないよ。




こんな気持ち初めてだ・・・。


今までだって『気になった子』は居たよ?

サラサラのロングヘアーにちょっぴり吊り目で胸も大きい子とか・・・・。
でもね・・ちょっと嫌なとこ見ちゃうと・・・すぐに気持ちが冷めちゃうんだ。
なんかめんどくさくなって・・・どうでもよくなっちゃって・・・・。忘れちゃう。


でも―――栄口は違った…。



一緒にいればいるほどどんどん好きになる…。
栄口の笑う顔
栄口の怒る顔
泣く顔
悲しい顔
苦しい顔


人の事ばかり心配してる所

弱い人をほっておけない所
その癖…自分が傷ついても隠そうとする所


全部――全部 好き。




だからごめん・・・・・

俺これから栄口に『酷いこと』するよ。


だってそうしないと栄口は分かってくれないから・・・・


ごめんね・・・

オレ・・・もう戻れない


栄口を諦めること―――どうやってもできなかった・・。


大好きなんだ・・栄口

だから

阿部とエッチしてたぶん・・・取り戻させて?

阿部と一緒に過ごしていた時間分――――栄口を犯させて?


そうしたらわかってくれるよね?
俺の気持ち・・・。

そうしたらきっと振り向いてくれるよね?

頭も身体も俺でぐちゃぐちゃになっちゃえば・・・そうしたら俺を見てくれるよね?



ね・・・?






栄口



END






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